超初心者の為のCPA講座



 
【CPA全般】

1:このページの対象者はどのレベルの人?


→このページの対象者は、ずばり「4年前の自分」です。
 私がこの勉強を始めたのは、とあるきっかけで生まれて初めて簿記というものの存在を知り、その必要性を強く感じたからでした。たまたま英文学科出身であった為、簿記の勉強しながら英語もそこそこやれたらいいなーという程度にしか考えずに予備校の門を叩きました。そう、つまり公認会計士っていうのは「簿記のエキスパート」みたいな感じなんだろうなぁ、という位の印象でしか無かったのです。
 4科目あるっていうのは説明の時に聞いたけど、最初に配られる教材は「英文簿記入門」等のFARの教科でしたので、あまり深く考えずにダラダラと勉強してしまいました。思えばこれが今日まで勉強せねばならなくなった原因だったのです。この勉強を始めるにはあまりに無知でした。
 ・・・話は長くなりましたが、このページの対象者は例えば、
「CPAって始めようと思ってるけど、どんなもんなの?」
「実際勉強始めてみたけど、いまいちピンと来ないなぁ」
「ちょっと息抜きに初歩に戻ろうかねぇ」
なーんて考えてる方達です。


2:何故CPAって4科目あるの?

→そもそもCPAって何?という所から始めるべきなんですが、それについては私の盟友Mollyさんのページにて実に詳しく書かれているので、そちらを見て頂ければよーく分かります。私はちょっと違った観点から書きたいと思います。
 1で書いた通り、CPAって簿記を中心にやるのかと思っていましたが、全く違っていました。皆さんは公認会計士というのはどういう姿かイメージ出来るでしょうか?私には全くイメージ出来ていませんでした。なんとなーくカッコいいなぁ、という位のミーハーなイメージのみ。実態をすこーし知るようになって、4科目勉強せねばならない意味がよーく分かりました。
 CPAの仕事というのは非常に多岐に富んでいます。まず一番にイメージされるのが、企業の会計監査をする姿でしょう。恐らく実際もこの監査部隊におられる先生方が割合としては多いのだと思います。他には例えば税金の申告書を作成したり(税務申告書の作成はとても難しいので、多くの中小企業の経営者や経理担当者は自力で作成できない)、あるいは経営コンサルティング業務に携わる方もおられると思います。
 ではそういった業務をやる時に、簿記の知識だけ備わっていて出来るでしょうか?実際に例を挙げて考えてみましょう。あなたはある監査法人に勤める米国公認会計士で、A社の期末の決算の監査に来ていると仮定します。

 A社は今期途中で株式を分割して、100株だった流通株式が一気に500株に増えています。また、売上原価のの評価方法をFIFOからLIFOに変更しています。複雑なデリバティブの処理も始めているようです。
・・・・こういう時にこの会計処理が正しいかどうか、またそれが適正だとして計算間違いはされていないか等を
評価する基本となるのがFARなのです。ま、これはイメージ出来ますよね。このFARの知識は財務諸表監査の基本中の基本ですから、CPA試験の中で最も重要である事には変わりないと思います。

 監査チーム(企業の監査では通常複数人で行います)のリーダーから「君はA社の決算書に載ってる税金の確認をしてくれ」と言われました。さて、どうしましょう。
・・・・財務諸表監査には当然、A社が計上している税金が妥当かどうかを確かめる作業も含まれています。という事は税金がいくらになるのか計算出来る必要があるという事です。税金計算のルールは簿記の時のルールと若干異なり、知らないと税金の算出は出来ません。いわゆる税法の部分にあたるのが、REGの中のTAXと呼ばれる分野です。

 どうもA社の決算書に問題は無さそうです。念の為に「何か懸案事項ってありますか?」とあなたが質問した所、A社の法務担当者がやって来て、
「香港にあるB社と、5/1にFOB香港の条件で商品を出荷したのだけど、船が火災にあって商品が無くなってしまった。B社に代金支払いを求めて訴訟中ですけど問題ないですよね」と聞いてきました。

・・・・こういう時にあなたは何と答えればいいでしょうか?この問題は、実はとても基本的な法律の問題なのですが、実際の監査をするにあたり、CPAとしてこの程度の法律知識は無いと困るでしょう。その
基礎知識を学ぶのがREGの中の「商法」と呼ばれる分野なのです。

 あれあれ?かるーい気持ちで最後に聞いた質問にそんな答えが返って来るとは思ってもみませんでした。その裁判に関しては財務諸表上どこにも書かれていません。裁判で負けた時に払う金額は相当大きいです。さて、A社に対して監査報告書は無限定で出せるでしょうか?
・・・・企業監査において監査人が果たす役割と言うのは、簡単に言うと「この会社が作ってる財務諸表に重大な誤りは無いです。皆さん安心してこの決算報告書を見てもらっていいですよー。」というお墨付きを与える事です。企業がインチキ(粉飾決算など)しないように第三者という独立した立場で企業を見張る「見張り番」のような仕事をするのです。この「重大な誤りは無いです!」と書かかれた報告書の事を無限定適正意見報告書というのですが、この報告書を出していいかどうかを図る基準が当然必要となってきます。つまり監査を行うにあたってあなたが拠り所とする憲法を知っていなければならないという事です。その
憲法を学ぶのがAUDだと思ってください。ちなみにこのAUD、4科目中最も難しい科目であると言われています。

 監査をするにあたり、あなたはA社の帳簿を見る必要が出てきました。A社は財務システムを全て各人のPC上で行う業務フローを採っています。どうやらこのシステムの仕組を理解しないと正しく会計処理が行われているか分からないようです。
 また、取締役の方から話を聞いて会社の経営方針や、内部統制(きちっとした会社かどうかというイメージで今は捉えてください)の強弱を判断する必要が出来てきました。その中でCFOのエライさんが
「うちはROAを上げる事を一番の主眼に置いてる。」とか
「需要を増やす施策上、製品単価を思い切って来期から半額に下げる予定だ」とか、
「ライボー+0.5%を各取引先から徴収してるのだがその見直しをする必要があるかも」とか、
「ワックという指標でうちのバランスを考えてみるとだね・・・」
なーんて言い出しました。
 緊張のインタビューを終えると、最後に世間話で「FRB(アメリカで言う日銀のような存在)は公定歩合を上げてくるかねぇ。どう思う?」と聞かれました。

・・・・これらの項目は、ダイレクトにCPAとしての仕事に関わりはしないですが、CPAたる者として当然知っておくべき常識と言えるでしょう。今例に挙げたITや、経済学、管理会計、財務管理、経営計画など
数多くの分野をあさーくひろーく学ぶのがBECです。出題範囲は膨大です。例えばITと経済学には何のつながりもありません。とにかく「色んな分野の常識的と思われるような事が分かってる?あなたは常識人ですか?」と問うているような科目です。常識の無い私には全て新鮮で、かなり勉強してて為になり、面白かったです。タイボー、ワック、β等など、この単語を今初めて見る方、BECの勉強を始めたら必ず出会います。楽しみにしてて下さい。

 こうしてみると、これら4科目がCPAとなる上で全て必要とされているものだという事が分かりますよね?次のトピックにも書きますが、この試験は「高いレベルでの常識人」となる為のテストだと思います。少なくとも「会計のスペシャリスト」ではありません。「会計のスペシャリストの卵になる為の試験」だと個人的には思います。CPAになればバラ色の世界が待っているとは言えません。しかしバラ色の世界へと続く扉を開ける鍵を手に入れることは出来るのだと思います。これをどう思うか、それはあなた次第だと思います。



3:CPAって使える資格なの?

→このページを見ている方は、この決してメジャーとは言えないCPAという資格に少なからず興味を持っている方でしょう。そして恐らくその大半の方が色んなHP、ブログなんかを見て情報収集された事でしょう。
 最近は簡単にブログを作る事が出来るので、その情報量も私が勉強を始めた時より格段に増えてますよね。そしてそれに伴うようにCPAに対する評価も百花繚乱のように感じます。

私の個人的な印象ですが、、、、

各予備校・資格、教材紹介サイト→「簡単に取れてかつ高評価、転職にも最高で今後最も求められる資格」と紹介、夢のような資格であると謳う。

勉強始めたての人、CPAを取ろうかと考えている人のブログ→「この資格を取れば人生が変わる!転職して高収入だ!スキルアップだ!!」と意気込む。

既取得者のHP、ブログ→CPAなんて使えないよ、目を覚ませよ、と冷たく言い放つ

という構図が出来ている気がします。
で、私の率直な印象なのですが、
「予備校の言ってる事も既取得者の言ってる事もどっちももっともだよなぁ。。。」
という実に中途半端なものです。
 この2つの対極的とも思える意見は、CPAという資格をそれぞれ別のサイドから見て言っているのだと思います。例えるならばコンタクトレンズを評して「視力が劇的に変わる!!メガネに煩わされずに済む正に魔法のような品物!!」という意見も正しいし、「コンタクトをしたからと言っても24時間付けっ放しに出来るわけで無く、結局夜にはメガネをしなくてはならない。装着中もゴロゴロするし、合わない人は装着すら出来ない」という意見もこれまた正しいですよね。つまりCPAの資格には他には無い素晴らしい面も確かにあるし、かといってそれさえあれば無敵だという物でも無いって事です。

 具体的に私が感じている例を挙げてみましょう。

 まず転職に有利という点、これに関しては文句無くそうだと言えると思います。求人欄なんかを見ていると監査法人や外資系の経理部門、その他大企業の募集要項等には必ず「USCPAなら尚可」という但し書きが書いています。企業側にとって見たらCPAの資格を持っている人材なんてそういませんよね。少なくとも何の資格も持っていない人よりは絶対に就職・転職には有利なはずです。
 国際色豊かな点という面でもそうでしょう。なんてったって日本人なのに全部英語で行われる試験で75%以上の正答率を挙げた人材という事です。そんじょそこらの人よりも英語が出来る事は間違い無いでしょう。また、国際会計基準はどんどん統一化されている方向へ向かっています(受け売り)。その元となる基準というのがUSGAAPと言われているので、今米国基準の会計の勉強をする事はプラスにこそなれマイナスになる事は絶対にありません。恐らく転職に成功すれば現状よりも高給となる可能性は高いでしょう。
 そして試験自体が簡単という点、これも確かにその通りだと思います。日本の会計士や税理士の試験なんかよりは数段易しいですし、現に私は働きながら勉強をしてなんとかここまで来れました。

 ・・・予備校等が言ってる事に全て間違いは無いと思います。

 では既取得者が言っている「CPAなんて使えない」というのはどうでしょうか?
 例えばこれを見ているアナタが、当時の私と同じように経理の経験が全く無いとしましょう。キャッシュフロー精算書は作れるでしょうか?例えば連結会計の業務って出来ますか?もっと基礎的な事で、会社の粗利の出し方って分かりますか?
 実はこれ、全て私の過去の出来なかった経験です。私はFARに受かりましたが、CSを作る事は未だに完璧には出来ません。連結業務もです。(そもそも連結決算の範囲はFARに含まれていません。)粗利の出し方は「売上高-仕入高」のイメージでした。在庫の評価方法もFIFO、LIFO以外になると怪しくなります。
 また、必死で覚えたデリバティブなんかの処理なんてもう既に完全に忘却の彼方です。今転職して金融機関に行っても、全く使い物にならないでしょう。英語もまぁそこそこ出来るっていう位で、ビジネスの場で意思疎通が出来るなんていうには程遠く、メールのやり取りでなんとか海外とはこなしている毎日です。CPAを取ったからといって、それでいきなり監査法人や外資系の企業でバリバリと働けるなんてこれっぽちも思えません。もし運良く入れたとしたら周囲から「使えない」と思われる事でしょう。これが既取得者の言う「使えない」という事だと思います。

 ・・・・既取得者の言ってる事も間違い無いと思います。

要するに、私が今勉強を始めようと思っている方に言いたいのは
「間違いなく自分のリターンとして返って来る、でも過度の期待は禁物だよ。勉強をして行く上でリスクは相当あるよ。」
という事です。
 CPAを取ると恐らくほとんどの会社で書類審査はパスするでしょう。求人も引く手数多だと思います。ただそれが=入社=転職成功になるとは思えません。やはりCPAにプラスαで何かが必要だと思います。それは英語力だったり、ポテンシャルだったり、若さだったりするのかもしれませんが、
やはり一番は実務経験でしょう。実務に勝るものはありません。実務経験の無い単なるCPA合格者より、実務経験を積んでステップアップの為にCPAを勉強中の方の方が入社出来る確率は高いでしょう。ただCPA勉強中という状態の方が面接までこぎ着けれるかどうか、は別問題だと思います。書類で落される可能性もあるでしょう。
 この試験が医者や弁護士や日本の公認会計士より簡単なのはある意味当たり前です。それらの資格は合格すればほぼ間違いなく就職出来ます。合格すればそれこそ人生が一変するような展開が待っているでしょう。だから仕事を辞めて、全てを投げ打って打ち込まないと受からないのです。CPAは全く違います。CPAの資格を取ったからといって未来が保証されているわけではありません。前項でも書きましたが、「バラ色の人生へ繋がる扉のカギ」を手にする事は出来ますが、そこから先は自分自身の能力です。
 もしアナタが転職目的でCPAの勉強を考えているとして、「なーんだ、その程度のもんか」と思われるなら勉強は止めた方がいいと思います。「でもそれだけのチャンスを手にする事が出来るのか」と思われた方、挑戦してみる価値はあると思います。CPAの勉強を始めたばかりで、夢のような生活を期待しているブログを書かれている方、少し冷静になる必要があるかもしれません。

 また、この試験には莫大な時間と費用がかかります。特にお金、相当かかります。直接的に得られるリターンは根性、根気などでしょうか。そして勉強を始めたが最後、諸々のものを犠牲にする毎日が待っています。簡単というのはあくまで日本の公認会計士などと比べたら、という事であって、そんじょそこらの試験なんかよりは相当難しいと思います。

 評価なんて絶対的では無く相対的なものです。要は目線をどこに持って行くかでどうとでも変化するという事です。日本の公認会計士を持ってるバイリンガルの方から見たら、左手で受けても受かるようなものでしょうが、私のような超会計初心者の普通の人間から見ると、もう垂直にそりたったエベレスト級の壁のような感覚です。

 ・・・・あれ?益々混乱されましたか?




4:どの科目から受けるべきなの?

→これを見ている方の中には、まだ受験科目をどこから受ければ良いか決めあぐねている方も多いでしょう。4年前の無知な私は、そもそもどんな科目があるかすら考えた事も無く、ただただ流れに任せてなんとなーくの雰囲気で受験してきてしまいました。
 これは私の失敗(選択ミス)から学んだ経験ですので、まずこの本題に入る前に、私の受験科目の変遷を書かせて頂きたいと思います。

1:初回受験(04/08@ハワイ)→FARとAUD(FARに合格)
2:2回目受験(05/02@ハワイ)→BEC(合格)
3:3回目受験(05/05@ハワイ)→AUD(72点で不合格)
4:4回目受験(05/08@ハワイ)→AUD(合格)
5:5回目受験(05/11@ハワイ)→REG(結果待ち)

 何故この順序で受けたのか、、、、理由は単純に単位試験です。
 冒述の通り、私はあまり深く考えずにこのCPA試験というものに挑みました。自分の中ではとにかく簿記(FAR)っていうのがCPA試験であって、あとはおまけのようなものでした。なので、当然FARの勉強を最優先しました。はっきり言って他の科目の事は何にも考えて無かったです。だから初回受験はもう何も考えずにFAR!ただそれだけです。
 また、私は英文学科卒業なので、CPAに必要な単位は一つもありませんでした。勢い、予備校の単位認定試験を受ける必要があり、その最後の単位の科目がAUDでした。FARと一緒にAUDを受けたのは単純に一番記憶が新しかったという理由からです。そんな「おまけ」みたいな気持ちで当然受かるはずも無くAUDはあっさりと撃沈、力を入れてたFARに合格する事が出来たのです。
 初回受験を終えて結果が出るまでの間、当然次の勉強をしていました。ま、一応受かるかも、、と淡い期待を寄せていたのでFARとAUDの勉強はせず、残り2科目のうち簡単そうなBECの勉強をしていました。2回目の受験はそんな理由からBECを選択し、なんとか合格する事ができました。
 残る2科目、AUDとREGでAUDを選んだ理由は「REGってなんだかやだなぁ」というだけの事です。ま、完全な逃げですね。そして何とか受かって最後の科目がREGとなった訳です。

 
私の科目選び最大の失敗は何の戦略も無くREGを一番最後に持って来た事です。REGの中の税法というのは、覚えなくてはならない数字が毎年変わるので、最もテキストや講義の陳腐化が早くなってしまう生もののような科目でした。最初に講義を受けてから早2年以上が経過し、テキスト、問題集、講座、全てを新しいものにする必要が生じてしまったのです。損失額は数万円規模に達してしまいました・・・・
 日本でもそうですが、税法というのは最も市民生活に影響を及ぼす法律です。その為「政争の具」として扱われる事がしばしばあり、例えば政権が変わったりするとかなり大幅な変更が発生したりします。
 それに対して、FARやAUDというのは、長い間積み重ねてここまで来た決まり事であり、劇的な変更や細かな修正などもほとんど発生しません。いわば普遍の法則と言えるでしょう。もし変更があったとしてもその数は知れています。税法に比べれば恐るに足りません。
 BECの内容なんてもっとそうです。需要曲線やA/R Turnover、WIPの計算方法なんかが明日いきなり変わるなんて事は恐らく100%無いでしょう。敢えて言えばITの分野位でしょうが、これも毎年何か変わるような事もないと思います。

 そこでもし、私がもう一度CPA受験をやり直すとしたら(ってぜっっっっっっっったいに嫌ですけど)、この順番に受けます。

1:BEC

2:REG

3:AUD

4:FAR


 
一番はもう文句無くBECですBECは4科目中唯一シュミレーションが無い(05/12現在)科目です。新分野として始まったばかりであり、まだ出題者側も手探り状態で問題を作っている感があります。しかも最近受験された方の感想を聞くと、どうやら年々難しくなっているようです。これは早いうちに叩いとくべきです。時間も最も短く、初回受験のボリュームとしては最適なのではないでしょうか。

 
次はREGです。前述の通り、とにかくREGの税法はコロコロコロコロ数字が変わります。マイナーチェンジは当たり前、下手すると「抜本的な税制改革」なんていう国民にはありがたくても受験生には極めてムカつく改正なんかがされる恐れがあります。BECのシュミレーションが始まってしまったら、真っ先に受けるべき科目でしょう。とにかく知識の陳腐化が始まる前に一気に暗記して受かったらパッと忘れればいいのです。(実務にあたって、細かな金額を一々暗記する必要は全くありません。必要なのは税金構造を知る事です)

 3科目目はどちらでもいいかと思いますが、
私ならAUDをやります。AUDは最も難しい科目であると言われています。理由はAUDの所で書きますが、私も受けてみて確かに「難しい」と感じました。なので、最後に最も高い山を持って行くより先にクリアしておいた方が精神的に楽になると思います。科目合格の期限が切れそうな中でこのAUDをやるとなかなかプレッシャーを感じると思います。

 
最後はFARです。このFARという科目が最もボリュームが多いので最後に残すのは抵抗があるかもしれません。ですがFARは「知識の陳腐化」が最も起こりにくい科目です。授業で遠い昔に聞いた事も意外と忘れていないもんです。実務に接している方にとっては、「覚える」というイメージではなく、いつもあまり意識せずにやってる事を復習する感覚になるでしょう。ほぼ全ての問題が計算問題ですので、既に3科目受かってる「ベテラン」のアナタなら下らない計算ミスで問題を落す可能性も減りますよね。ラストスパートは頭をウンウン使って悩むような科目よりも、ただひたすら計算機を叩きまくって追い込みをかける方が勢いに乗れる気もします。

 ・・・・どうでしょう?あくまで一参考意見ですが、もし4年前の自分が横にいたら強制的にこの順番で勉強させます。






5:やっぱり仕事は辞めて勉強に専念すべきなの?

→私個人の勝手な意見ですが、仕事を辞めて勉強に専念するのは止めた方がいいような気がします。
 2でも述べましたが、この試験に合格する事で得られる絶対的なリターンというものはありません。どちらかと言うと、実務をして行く上で役に立つような事がかなり大きいと思います。仕事をしていて思うのですが、実務経験というのは非常に大きいです。ここで言う実務とは何も経理・財務の職だけではありません。営業職しかり、研究職だってCPAの勉強は役に立ちます。
 恐らくほとんどの受験生の方が私と同じ20代後半〜30代の方でしょう。その若くて多くの事を吸収できる貴重な時期を、この勉強だけに費やす程の価値というのは正直無いのかな、と思っています。この試験は仕事しながらでも受かります。今思い悩んでる人はもう一度考えた方がいいかと思います。
 また、仕事を辞めたからと言って、必ずしも短期合格出来るとは限りません。この試験は簡単だと言われていますが、それは「難しさの質」が難関試験と言われている試験とは違うのだと思います。
 CPAの試験問題というのは、一問一問を見ると「解けない」という問題はほとんどありません。聞かれていることは基礎の基礎の事ばかりだし、いわゆる引っかけ問題みたいな問題も少なく、ストレートに解けるものが大半です。こういった一つの局面だけを見つめると「簡単」だと言えるでしょう。確かにその通りだと思います。
 しかし覚える、理解する「量」というのが半端ではありません。1回の受験で4科目全てに合格するだけの勉強を、仕事を辞めたとしても果たして出来るのか?というと疑問が残ると思います。
 絶対的な見返りが無いのに敷居は決して低くない、つまり仕事を辞めて勉強に専念するのはハイリスクローリターンだという事です。実際、私の知り合いにも仕事を辞めてCPAに挑戦している方が何人もいますが、その多くの方が合格する事が出来ず、社会人に復帰したり、ご結婚されて主婦となられたりしています。「仕事辞めれば受かるでしょ。」というノリで受かるような資格ではありません。

 費用というのも大きな問題でしょう。この試験は当然ながらアメリカに行って受ける必要があります。独学で受かるような資格ではありませんので、予備校に行く必要もあるでしょう。受験費用に渡航費用、現地でのホテルや食事代、諸々入れると1回行くだけで数十万円は飛びます。前述の通り一度で全て受かるのは至難の業ですので、これが数回分、授業料を入れれば普通に百万円単位でかかるでしょう。これを無収入で乗り切るのはツライでしょう。その渡航費用を稼ぐ為にバイト、、、なーんてなると本末転倒です。

 しかし仕事を辞めて勉強に専念する事が絶対に駄目だとは決して思いません。私の知っている方で、仕事を辞められて猛烈に勉強をし、2科目、2科目を受けてそれぞれ一発で合格、一年でCPAになられた方がいます。この方はその後CPA合格の実績を活かして再就職、現在は外資系の経理部にてバリバリ働かれています。これは完全に仕事を辞めて勉強に専念して正解だったケースだと思います。
 また、最近本当に多くなったCPAの勉強生活のブログを拝見すると、私の知っている限り働きながら全科目合格した方はほとんどいません。日本の公認会計士であるなど特殊な場合を除いて、仕事と勉強の内容は直に関連してはいないので、やはり仕事を辞めて勉強に専念する事が合格する為の一つの方法である事は間違い無いと思います。時間が取れるという事はかなり大きいですからねー。

 結論として、
「リスクをどこに取るか」の個人の判断により変わってくるのだと思います。

・仕事を続けて勉強をし、結局中途半端に終わってしまうリスク
→時間という最も貴重なソースは圧倒的に足りません。仕事は勉強に関係無く忙しくなったり、付き合いで飲みたくも無い酒を飲んだりする事もあるでしょう。疲れて仕事から帰ってきて果たして机に向かえるのか?ダラダラと続けてしまうと勉強はしてるつもりなのに結果が伴わない、という悲惨な結果が待ち受けているでしょう。
 しかしもし、仮にCPA勉強生活が失敗に終わったとしても、仕事に戻ればいいだけの話です。幸運にも受かったとしたらそこから転職活動を始めればいい。「強気」の転職が出来るはずです。

・無職で勉強を続けて先の見えない勉強生活と共生するリスク
→社会人がヨダレを垂らして欲しがる時間が手に入ります。この試験はいかに量をこなすかにかかってくる面が大きいので、勉強時間があるというのはもう圧倒的なアドバンテージです。24時間全て自分の為に使えるなんて、1年に換算したらもうそれだけで社会人と(予備校が合格に必要と言っている)1500時間位の差は簡単につくはずです。
 ただ、人間は弱いものでそんな毎日毎日勉強ばかりは出来ません。「○時に起床、電車に乗って強制的に机に座る」等という毎日一定のリズムが無いと自分の気持ち次第で生活はあっという間に荒みます。自由時間があると言っても部屋や予備校の自習室との往復だけ、無職なのでお金も無くパーッと遊びにも行けません。勉強もどこまでやっても完璧にはならず、「これで落ちたら・・・」という焦り、不安は後が無い分深刻です。

 私は仕事を続けながら気合で勉強して、幸運にも上手く行きました。ただし4年もかかりました。別の方はスパっと会社を辞めて猛烈に勉強し、僅か1年弱で合格、ブランクなんて感じないまま社会復帰して希望通りの職業に就かれてます。さ、あなたはどちらを選びますか?どちらの道を選ぶかはアナタ次第!その選択がどんな結果になるのかもアナタ次第!